展示室1
熊谷守一の原画は色彩が美しい
茶道具のように絵が醸す存在感の凛々しさ
板に削った輪郭のシャープな線
丁寧な塗りの筆跡のストローク
和菓子のような色彩の瑞々しさ
書の様な緊張感のある面を塗る時の筆跡
熊谷守一が心踊らせた風景が絵になり手紙のように時を超えて今の自分に届く
展示室2
若い頃の絵は線より油絵具の濃厚なストロークの強い筆跡が印象的。貧しかった頃の絵は気持ちの重さが油絵具にそのまま反映されているように感じた。
亡くなる一年前くらいに描いた最後の油絵の蝶の絵は軽さと力強さを感じた。
墨の線も鉛筆の線だけの絵も好きだ。美大の頃のサインの字も上手だったからもともと持っている線のセンスなのだろう。
展示室3
鉛筆のスケッチはシンプルに書と同じ領域の良さがある。夏の山の絵はシンプルながら夏の暑さと風の気持ちよささを感じられるから不思議だ。詩のような絵
今日の印象
若い頃の絵はストロークが激しく感情的でパンクロックのように鋭く尖っているように感じた。年齢が上がるにつれそぎ落としながらも魂の揺れの激しさはやはり感じる。熊谷守一の絵は一見のどかなようだが石のように何層もの歴史と時間が固体化した濃密な画面になっていてシンプルながらずっと熊谷守一の世界観に入っていける。計算された画面と書のような潔さが調和されている。熊谷守一の絵を観ているとマッサージのように気持ちがほぐれていく